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Channel: どうせあまのじゃくですよ~。
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女性を怒鳴るなんて…。

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産経新聞(朝刊)に【from Editor】という小さなコラム欄がある。産経新聞の編集幹部が執筆する短いエッセイのようなものだ。11月2日は社会部長の近藤豊和さんの『秋冷の「体感治安」』という文章が載っていた。以下は、近藤さんとわたし(うしどし)の架空の会話である。

近藤:   贅肉(ぜいにく)が付きすぎたわが身を清めてくれるような早朝の心地よい冷気の中、氏神様に参拝したときのことだった。

うしどし: 運動不足じゃないのか。そろそろ肉体労働に変わった方がいいぞ。

近藤:   参道へとつながるケヤキ並木を歩いていた。突然、幹の陰から派手な色柄の丈の短いワンピースを着た厚化粧の女が、笑みに妖気を漂わせて姿を現した。

うしどし: ……。

近藤:   「おにいさん、おにいさん、マッサージしませんかぁ~」妙なイントネーションで声をかけてきた。朝の6時ごろである。通勤で駅へと向かう人の姿もチラホラ見え始めていた。秋冷はすぐにどこかに吹き飛んだ。怒りがこみ上げた。頭に血が上り頭皮がチリチリとした。上気した勢いで、「あっちへ行け!」と怒鳴ってしまった。声をかけてきた女は、中国語で何やら口早にわめくように言い返してきた。

うしどし: 危ないなあ。早朝の冷気の中で、しかも肥満体の身で、そんなに頭に血を上らせたら、脳卒中か心筋梗塞を起こすかもしれないぞ。それにしても、いかがわしげな女性に声をかけられるのがそんなに腹立たしいのかい?少しは話を聞いてやってもよさそうなものを。私なら「しませんよ~」とやんわりと断るけどなあ。声をかけてきたのが中国人(らしい)女性でなく、強面の日本人男性であっても近藤さんは「あっちへ行け」と怒鳴ったかな?

近藤:   厳粛な早朝の参拝が穢(けが)されたという思いと、近隣にこうしたグロテスクな環境が形成されていることへの悲嘆にも似た思いとがない交ぜになり、仰いでしまった青空の澄み渡った美しさがまた悔しかった。

うしどし: はいはい。

近藤:   「体感治安」という用語がある。犯罪件数の増減など統計に表れたものではなく、日常生活の中で感じる治安の良しあしに関する感覚のことを意味する。

うしどし: はいはい。
  
近藤:   早朝のわが身に起きたことは、まさに「体感治安」として、地域の治安悪化を突きつけた。

うしどし: たった一人の妖しげな女性に声をかけられたくらいで、そこまで大げさに言わなくてもいいのに。

近藤:   ところで、警察庁が先月公表した「平成21年上半期の犯罪情勢」によると、全国で発生した刑法犯の認知件数は、平成15年から昨年まで減少が続き、今年上半期も前年同期比に比べて、4万319件(4・6%)減少している。

うしどし: マスコミの犯罪過剰報道のおかげで、純情な人たちは「近ごろは物騒になった」と思い込んでいるようだ。

近藤:   統計的には、犯罪は減少しているのだ。しかしながら、“犯罪臭”を身近でかいでしまうと、途端に「治安の悪化」を思い悩むようになる。また、東京・秋葉原での無差別殺傷事件に見られる「動機なき凶行」や、インターネット上の特異な犯罪などがクローズアップされると、「体感治安」がさらに悪化する要因となる。

うしどし: 近藤さんもマスコミ情報に踊らされているお一人なんだね。お気の毒に。

近藤:   先日会った警察幹部の一人は、「本来ならば、統計的な犯罪の件数減少と、治安改善の実感とが一致するような状況こそが望ましい」と話していた。

うしどし: ……。

近藤:   冒頭に書いた朝の出来事には続きがある。その日の夜、所轄警察署の当直の方に電話で出来事を伝えた。たまたま電話に出たその方は、「明朝、その場所に行ってみます」と即答してくれた。「体感治安」は明らかに改善した。

うしどし: 警察も大変だな。こんなことを言いたくないが(本当は言いたいのだが)、近藤さんは物欲そうな顔をして歩いていたから、いかがわしい女性に声をかけられたのかもしれないと思う。失礼。やはり声をかける女性がよくない。

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